「戦争は絶対悪だ」という思想に対立する思想がはっきり分かった。それは、「命を捧げて、何かを守る。死によって、その人の生は意味のあるものとして肯定される。主人公の内面に寄り添ってそのプロセスを感動的に描きあげれば、カタルシスを覚えることがあるでしょう」というような、「大事なものを守るために戦う」というヒロイズムである。
そう言えば、上野千鶴子『生き延びるための思想』の中で書かれていた「死ぬための思想」「死を覚悟する思想」も、ヒロイズムである。安倍首相が、「国民の命を守るため」と法案の意義を強調したのも、ヒロイズムである。この思想は、人間の尊厳、命の尊厳という思想とも対立する。「戦争は絶対悪だ」=「人間の尊厳、命の尊厳」だからである。
ここで考えたが、「死を覚悟する思想」であるヒロイズムを前提にした平和など、似非平和でしかない。いつ破れるかわからないような平和だからである。いや、ひび割れしている平和というべきかもしれない。それに対する思想が、「生き延びるための思想」であり、こうした思想を前提にした日本国憲法による平和こそ本物の平和である。『生き延びるための思想』を再読してみたい。
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