2023年6月29日木曜日

時間の移ろいを描いたマティス

 日曜美術館で、朝吹真理子さんによるマティスの作品「夢」「金魚鉢のある室内」の解説を聞いた。夢は単なる気持ちよさそうに”まどろんだ一瞬”を切り取った絵ではなく、夢と現実が行き交うような”気持ち良い一定の時間”を描いている、といい、「金魚鉢のある室内」は、”室内の静粛な時間から、川の流れや人の動きへと続いた時間”が描かれているという。
 こうした風吹さんの解説を聞いて、今までわからなかったマティスの作品「ダンス」の素晴らしさが分かってきた。色彩以外の一切が捨象してあり、その分強調された、ダンスの動きや踊っている時間が描かれている。画面から踊っている人たちの喜びの感情が溢れており、声までも聞こえるようである。
 そういえば、葛飾北斎などの浮世絵にも、一枚の絵の中で時間の流れが描かれている絵がある。「山下白雨」は有名だが、そこには「移り変わる自然の姿や、その中にあって微動だにしない藤の雄大さが、一つの画面のうちに描き出されている」(ポーランド国立博物館浮世絵名品展』郡山美術館、1999年、p178)というように、時間の流れがしっかりと描かれている。マティスは、浮世絵から学んだのだろうか。
 浮世絵「山下白雨」の解説を読んで閃いたことだが、ダンスの青という背景は、ダンスの動にないする”静”を意味しているのではないだろうか。そう考えると、赤のダンスが一層激しい動きとなって表現されることに気がついた。





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