放送大学教科書『より良い思考の技法』で出会った「知識の活性拡散モデル」を知って、これこそ、私が求めていたもの、と直感したのである。つまり、「新しい知識や概念の学習とは、ネットワーク構造の中に新しいノードを組み込み、知識構造を作り変えていくこと」だったのに、単発的な情報を仕入れるだけで満足してしまったのだ。救いは、幾らかは文章化の過程でまとめることができたことである。
それにしても、「知識の活性拡散モデル」はよくできている。問題は、このモデルを実践でどのように応用できるかであろう。今後の課題である。
人の知識(長期記憶)が、頭の中でどのように整理・保存されているかは、認知心理学の初期から取り組まれてきた重要な研究テーマの一つである。最も代表的な意味ネットワーク・モデルでは、意味的に関連性が強かったり連想関係にあったりする知識や概念がそれぞれリンクによって結ばれたネットワーク構造になっていると考えられている。このモデルでは、ある知識や概念(ノード)が想起されたり使用されたりすると、そのノードが活性化し、その活性化がリンクで結ばれた近くのノードに波及する。すると、それらのノードも活性化されて想起や利用可能性が高まる現象(プライミング)が生起する。そのためこのモデルは活性化拡散モデルと呼ばれる(図15-2)。
このネットワークモデルにもとづけば、新しい知識や概念の学習とは、ネットワーク構造の中に新しいノードを組み込み、知識構造を作り変えていくこととしてとらえられる。知識が別のさまざまな知識と結ばれた状態を記憶の精緻化と呼び、互いに一定のまとまりに整理されることを記憶の体制化と呼ぶ。精緻化された知識は、一つの知識が関連知識と意味をもって結びついているので、さまざまな手がかりから情報が引き出される想起可能性が高まる。(放送大学教科書『より良い思考の技法』、p 287~289、強調は引用者による)

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