2022年11月24日木曜日

人間の愚かさの治療薬「謙虚さ」

 北朝鮮はかつてない頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返している。中国は質量ともに軍事力を急速に強化し、力による一方的な現状変更が危惧されている。欧州では、ロシアがウクライナを一方的に侵略し、9カ月たつ今も戦火は病む気配すら見せていない。そんな状況に、国民の多くが不安に思うのも無理もない。
 こうした国民の不安を背景に、「防衛費の増額」が議論されている。果たして、このような軍事力による防衛戦略で、「この国のすべての人々が、安心して暮らせる社会と生活を守ること」(朝日新聞「主張」、2022年11月24日)ができるのだろうか。
 残念だが、それは難しい。なぜなら、これまでの歴史が教えてくれているだけでなく、次に示したように、軍拡競争に未来はないからだ。そして、”知の巨人”と言われているハラリ氏による処方箋「人間の愚かさの治療薬となりうるものの一つが謙虚さ」は、日本国憲法の精神でもある人間の尊厳に通じるとことがあって心強かった。
 ハラリ氏には、『漫画サピエンス全史 人類の誕生編』や『漫画サピエンス全史 文明の正体編』といった著書もあるだけに、戦争というものも、彼の視点には人類史の観点があるのかもしれない。大いに学ぶべきである。
 軍を増強し、果てしない軍拡競争に乗り出し、どんな争いにおいても譲歩を拒み、善意の意思表示は罠にすぎないのではないかと疑う。そうなれば、戦争の勃発は確実になる。
 その一方で、戦争は不可能だと決めつけるのは考えが甘い。たとえ戦争はどの国にとっても壊滅的な結果をもたらすとしても、人間の愚かさから私たちを守ってくれる神もいなければ、自然の法則もない。
 人間の愚かさの治療薬となりうるものの一つが謙虚さだろう。国家や宗教や文化の間の緊張は、誇大な感情によって悪化する。すなわち、私の国、私の宗教、私の文化は世界で最も重要だ、だから私の権益は他の誰の権益よりも、人類全体の権益よりも優先されるべきである、という思いだ。世界に占める真の位置について、国家や宗教や文化にもう少し現実的で控えめになってもらうには、どうしたらいいだろう?(『21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考』、ユヴァル・ノア・ハラリ著、河出書房新社、2019年、p236〜237)
 それはできないと思います。なぜでしょうか。
 「新たな世界大戦が避けられないと決めてかかるのは、とりわけ危険」です。「各国は、戦争は避けられないと思い込めば、軍を増強し、果てしない軍拡競争に乗り出し、どんな争いにおいても譲歩を拒み、善意の意思表示は罠にすぎないのではないかと疑う。そうなれば、戦争の勃発は確実になる」(註2)からです。

人間が戦争へ向かっていくのは、「人間の愚かさ」だと言い。その「人間の愚かさの治療薬となりうるものの一つが謙虚さだろう。国家や宗教や文化の間の緊張は、誇大な感情によって悪化する。すなわち、私の国、私の宗教、私の文化は世界で最も重要だ、だから私の権益は他の誰の権益よりも、人類全体の権益よりも優先されるべきである、という思いだ。世界に占める真の位置について、国家や宗教や文化にもう少し現実的で控えめになってもらうには、どうしたらいいだろう?」(註2)

改めて、カントのへ
 SNSで発信した意見が拡散し、「#MeToo運動」のように一つの大きな力となって社会を変えていくことも可能になりました。
 国民の一人一人が自由に思考し、行動する能力を高めれば、やがて国の統治にも影響を及ぼせるとカントは述べています。
「統治者は、もはや機械ではなくなった人間を、その尊厳にふさわしく処過することこそが、みずからにも有益であることを理解するようになる」

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