2022年11月10日木曜日

世界連邦のミニュチュア版

 コラム「ASEAN共同体形成への道」を読んだ。「ASEANが結成された目的は、このような東南アジアの歴史や軍事環境からの脱却をはかるために、地域経済協力体制を強化して自由貿易地域(AFTA)を設定して経済発展をはかるとともに、戦争を回避する国家グルーフを形成すること」だという。夢のような世界連邦のミニュチュア版のようで、実績があるだけに、希望の持てる話である。
 これまで、「加盟国の領有権抗争が発生するなど ASEAN内部での対立や衝突も何度か経験したが、外相会議を着実に積み重ね信頼関係を築く努力をつづけ、地域各国の協力機構の形成をすすめた」。素晴らしいことである。その上、1995年に東南アジア非核地帯条約を締結し、「ASEAN加盟国は、国連などで核兵器廃絶に向けた積極的役割を果たしている」のだから、日本も積極的に関与し、世界平和に貢献できるようになって欲しいものである。

コラム-ASEAN共同体形成への道
 東南アジア諸国連合(ASEAN)は、「東南アシア諸国の豊で平和な共同体がつくられる基盤を強化する」(結成宣言)ことを目的に1967年に結成された。現在は東南アジアの全10ヵ国が加盟している。
 第2次世界大戦以前の東南アジアは、タイを除く全部の国が欧米列強の植民地統治を受け、アジア太平洋戦争ではタイを除くすべての国が日本軍の侵略に晒され、軍事占領下におかれた。また第2次世界大戦後も植民地宗主国にたいする独立戦争やアメリカのベトナム戦争、さらには国家間の領有権をめぐる紛争や国家内での内戦、さまざまな戦争の惨禍を経験した。一方では、アメリカの主導により、東アジアにおける共産主義勢力の拡大を防くことを目的に、軍事防衛協力機構として東南アジア条約機構(SEATO)(1954年マニラにて締結)が存在していた(1975年ペトナム戦争の終結により段階的解体を決定、77年に解散)。
 ASEANが結成された目的は、このような東南アジアの歴史や軍事環境からの脱却をはかるために、地域経済協力体制を強化して自由貿易地域(AFTA)を設定して経済発展をはかるとともに、戦争を回避する国家グルーフを形成することにあった。ASEAN諸国にとって、グアム・ドクトリンの実施と米中和解によるアメリカの撤退は、各国内に共産主義勢力の抵抗を抱えていただけに大きな衝撃であったが、その空白を埋めるために、各国は政治協力を強めざるを得なくなった。加盟国の領有権抗争が発生するなど ASEAN内部での対立や衝突も何度か経験したが、外相会議を着実に積み重ね信頼関係を築く努力をつづけ、地域各国の協力機構の形成をすすめた。
 SEANは1976年には初の首脳会議を開催し、東南アジア友好協力条約(TAC)を締結、1994年からASEAN地域フォーラム(ARF)を開催、1995年に東南アジア非核地帯条約を締結した。同条約の実現は核戦力をもつアメリカが妨害してきたが、核兵器を配備していたとみられるフィリピンの米軍基地撤去により、締結の機運が一気にもり上がった。核保有5国は現在まで同条約議定書に署名していないが.ASEAN加盟国は、国連などで核兵器廃絶に向けた積極的役割を果たしている。
 2008年11月には前年の首脳会議において署名されたASEAN憲章が、全加盟国の批准を経て発効した。ASEANは2015年に安全保障共同体、経済共同体、社会・文化共同体を3本柱とする共同体創設を目指しており、同憲章の発効は統合に向け、基礎が築かれたことを意味する。(『新しい東アジアの近現代史 上』、日中韓3国共同歴史編纂委員会編、日本評論社、2012年、p213)

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