ところが、ようやく、倫理の重要性を加味した議論を見つけることができた。それは、「法の支配は、倫理的な考慮に基づいていない場合、機能しません。それゆえ、倫理的領域と法的領域のあいだでの態度調整が必要となります」(『未来への大分岐 資本主義の終わりか、人間の終焉か?』、マルクス・ガブリエル・マイケル・ハート・ポール・メイソン著、斎藤幸平編、集英社新書、2019年、p 188)というものだ。日本では、法の支配は、機能していないに等しい。倫理的な考慮に基づいていないゆえだったのだ。納得である。
民主主義についても、重要なことを言っているようだが、残念ながら、今のところ理解ができない。斎藤幸平氏が「だから、あなたは民主主義をさまざまなパースペクティブのあいだを取り持つ絶え間ない管理や調整の過程として描いているのですね」(上同)というところだ。このところは、『なぜ世界は存在しないのか』(マルクス・ガブリエル著、清水一浩訳、講談社、2018年、p 169)を参照するように描かれていた。ガブリエルの民主主義論に興味が湧いてきた。マルクス・ガブリエルは、二十一世紀の哲学者なのかもしれない。
ガブリエルは、新実在論というものを提起しており、その新実在論は「客観的事実普遍的原理を擁護するプロジェクト」(『未来への大分岐』、p180)だという。このところは、憲法などにある普遍的原理を哲学的に擁護する理論のようで、大変興味深いことである。
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