文藝春秋(2022年5月号)で、恐ろしい特集が組まれていた。「緊急特集 ウクライナ戦争と核」だが、要は「日本核武装論」なのだ。安倍晋三氏の勇ましい<「核共有」の議論から逃げるな 中国・ロシア・北朝鮮からこの国を守るために>だけでなく、慶応義塾大学教授片山杜秀による<「核の選択」清水幾太郎を読み直す>があって、初っ端から、「日本には核兵器が必要だ」と来た。「世界の現実を前にすればあまりに明らか」(p130)だというのだ。あまりにも無謀な論理である。「世界の現実」といっても、千差万別であるのに、何ら現実の具体例を示さず「あまりに明らか」と結論しているからだ。
また、「平和主義的・性善説的夢物語にとらわれず、この世のありのままを素直に見よう」とも書いている。核武装を主張しているのだから、核をめぐる対象を「ありのままを素直に見よう」ということであろう。それならば、「2021年1月22日、核兵器の禁止に関する条約(核兵器禁止条約)が、核兵器の使用と実験による壊滅的な人道上の被害を軽減する国際人道法上初の法規として発効し」(「核兵器禁止条約はなぜ重要なの? - 赤十字国際委員会 赤十字国際委員会」より)たことこそ、ありのままを素直に見た現実の姿であろう。
核兵器禁止条約が発効したことにより、「核兵器の使用、使用するとの威嚇、開発、実験、生産、製造、取得、保有または貯蔵を禁止し」、「加えて、いかなる人に対しても、またいかなる方法においても、条約で禁止されている活動を行うことを援助、奨励、勧誘することは法に反する」(上同)のである。したがって、核兵器禁止条約を批准していない日本であっても、核の生産も、製造も、条約で禁止されている活動を行うことになる。だからこそ、「日本には核兵器が必要だ」などということは法治国家なら言えないことなのだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿