2022年4月25日月曜日

今こそ明日の建設への理想を語ろう

 恒藤恭さんの思想に魅せられて、彼が編纂した全集なら素晴らしいに違いないと思い、全巻の目次のある『土田杏村全集 第15巻』(恒藤恭他編纂、日本図書センタ-、1982年)を借りて、この巻に収められた「『思慕の春』の序」と「『明日に呼びかける』の序 」を読んでみた。思った通り、素敵なことが書かれていた。特に「『明日に呼びかける』の序 」が良かった。
 例えば、五・一五事件について、「これは暴力によって政治を動かさうとした、重苦しい、陰惨な記憶なのだ。国民はもはや、長くこうしたところに停滞していたくない。それを超克し、その陰鬱の彼方に、もっと明朗な視野を展開して行きたい(p 327〜328)と書き、「言論は確かに以前より自由ではなくなっている」が、「今こそ自由に今日の清算を語り、明日の建設への理想を語り合はなければならない」、「こうした時代に我々は、一層熱心に建設の理想を語らなければならない。どういう局限せられた事情の中に於いてでも、我々に許される可能の限度に於いてそれを語り合はないのは、国民大衆の一員としての責務を怠るものだ」(p 328)と理想を語ることの重要性を力説している。
 そして最後は、「明日の大気よ、新鮮であれ。創意と大胆と情熱にみたされた国民の総意を健康に呼吸せしめつ。-(昭和八年冬)」(p 329)と結んでいる。二十一世紀に起きてしまった「まさかの戦争」が進行中で、重苦しい、陰惨な空気という点では、昭和八年頃と変わりがないかもしれない。このような事態に対し、理想は遠くに追いやられ、現実路線という声が大きくなってきている。その典型が「日本核武装論」であろう。しかし、土田杏村杏村氏がいうように、「今こそ自由に今日の清算を語り明日の建設への理想(憲法の理想)を語り合はなければならない」のであり、「こうした時代に我々は、一層熱心に建設の理想(憲法の理想)を語らなければならない」。つくづくとそう思う。

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