2021年11月20日土曜日

攻撃に対してもろい日本

 「一度書かれた文字はそのまま動くことはありませんが、その文字を受け取った人の心の中で文字は自由に運動を始めます(福岡伸一)」。これは、朝日新聞コラム「折々のことば」(2021年11月20日)で鷲田清一さんが取り上げた言葉だ。続けて、「文字は、それを読む人の心をかき混ぜ、ぶるぶる震わせ、渦とでもいうか、なにか知れない動き(ムーブ)を引き起こす。あるいは、心を温かくしたり、凍りつかせたりする。物語はだから、だれでもその人なりに受け取り感じればいいのだと、生物学者は言う。本紙連載中の「福岡伸一の新・ドリトル先生物語」第2回(4月1日朝刊)から」とあった。
 しかし、そうした心の変化は時間が経つにつれ、忘れてしまう。だから、人は忘れないようにメモをするようになった。私のメモ帳は何冊にもなったが、それでも、忘れてしまう。脳の機能がそうなっているのだから、仕方がないと言えばそれまでだが、一度覚えたものは、忘れたとは言え、脳内にストックされている。そして、なんらかの関連刺激によって思い出されることがある。
 これまでの話は、整理されていない記憶のことで、上手に整理された記憶は、思い出すのも容易らしい。というのは、そういった情報として知っているだけで、整理の願望を持ちながら、なかなか実践が伴わない。いろんな問題意識を持ちながら、その問題意識すら整理されていない。関連する問題意識、問題意識のランクづけ、など、整理の仕方も決まっていない。今のところ、その日その日の気分で動いているのが現状なのだ。
 今日借りてきた武谷三男の本『市民の論理と科学』の中の「自衛隊亡国論」というのがあった。そこで、日本にある原子量発電所は「潜水艦で浮上して砲撃ないしミサイル弾攻撃を容易に行うことができる。そうなると日本は死の灰で覆われてしまう。原水爆をつ合わないでも死の灰攻撃をしたのと同じことになるであろう」。だから、「今日の日本ほど攻撃に対してもろい国はない」という。前から、日本は原発があるから、絶対非武装でなくてはいけない。一度戦禍に会えば、復興など無理だという問題意識を持っていた。このような問題意識が「自衛隊亡国論」によって浮上したことになる。最近の防衛環境の悪化を考えると、この問題意識をもっと原理的に、かつ普遍的な問題として深めていく必要性を痛感した。

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