よく聞く言葉に、「戦後からの脱却」というのがある。そうした言葉に対し、そうではなく「戦前の歴史の核心をまず知ること、これこそが大切である」(「戦争の本当の理由と国家からの説明はなぜ異なっていたか」『この国のかたちを見つめ直す』、加藤陽子著、毎日新聞出版、2021年、p164)という批判を見つけた。
それでは、「戦前の歴史の核心」とは何か。この点について加藤陽子さんは、「9条の存在によって、日本の国家と社会は、戦前のような軍部という組織を抱え込まずに来ました」(「9条の意義、見つめ直すとき」『この国のかたちを見つめ直す』、pp168)と書いている。「戦前の歴史の核心」とは、莫大な予算を裏付けにした強力な軍隊組織を持っていたことであろう。自衛隊は、軍隊もどきの組織ではあるが、軍隊ではない。軍事力を抱えてはいるものの、軍隊になれないのだ。9条が立ちはだかっているからだ。戦前のことを抜きに、「9条の意義」は語れない、ということである。しかも、戦前の核心を簡潔に把握できるのが望ましい。この後の課題である。
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