そしたら、『丸山眞男集』の中に、似たような考えがあった。「どこへ日本を持って行ったらいいかというゴールの意識」が必要ではないか、というのだ。だとすれば、やはり、ゴールは日本国憲法の理想であろう。日本国憲法の理想を語ると、そんな理想は、現実の環境を見ると無理だ、という意見が出る。しかし、100年後の理想といえば、反対もできまいというものである。
丸山 極左勢力というものがこれだけ政治の表面で力がなくなってきて、じゃ他方で保守党なり財界の人たちは安心感を持っているかというと、いたるところにアカのにおいをかぎつけて恐怖している。他方では革命の主体的な条件というのは社会党を見たって共産党を見たっていっこうに成熟してはいない。それがぼくは日本の政治の大きな逆説じゃないかと思う。だから安保改定は通るでしょう。その他反動立法も通るかもしれない。しかしそれで保守陣営が安心して勝利感を持つかというと、そうじゃないと思うのです。むしろかれらはかれらなりにかえって不安の念におののいている。つまり根本的にはどこへ日本を持って行ったらいいかというゴールの意識がないと思うのです。ただこうなっちゃいけないってのはわかっているんですね、かれらの立場から。そこで社会党の天下になっちゃいけないとか、こうしちゃいけないという消極的な面から政策が出てきてる。(「日本の進む道(座談)」『丸山眞男集別集 第2巻』丸山眞男著岩波書店、2015年、p254)
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