2021年10月26日火曜日

『無法』と『絶えざる暴力』

 ジャーナリストの本多勝一氏は、世界の戦場や被差別地域をルポして歩き、その結果を出版している。『アメリカ合州国』(本多勝一著、朝日新聞社)も、その中の一冊である。この本の中に、東洋人の中でもっとも日本人が憎まれていることが書かれていた。アメリカでは黒人差別と同様に有色人も差別されてきたことは知っていたが、その中でも日本人がもっとも憎まれていることまでは知らなかった。
 本多勝一氏が取材のため黒人とコンビを組んでいたときのこと

「ユダヤ人と黒人のコンビより悪いかね?」
「 悪い悪い。ユダヤは遠くから一目で見分けられないが、オリエンタル(東洋人)ならわかる。その中でも日本人が 一番憎まれる」
 ロイが幼児のころ、「日本人殺し”ごっこ”(原文は傍点)」という遊びがあったこと。そうした感情は、素朴な人人や、南部のような土地柄ほど、現在も根深いこと。
(中略)
 最初ここに泊まるつもりでいたが、昨夜ジャックリーヌがロイと私に忠告した ——(『アメリカ合州国』、p141)
「日本人殺し”ごっこ”」とは、何ということだろう。こうした遺伝子が米軍人にもあるとしたら、と考えると、米軍人による、さまざまな日本における犯罪も納得できる。だがしかし、もっと普遍的な、次のような「アメリカ史の最初から現在に至るまでの重要なテーマ」こそがもっとクローズアップされるべきだと痛感した。1970年4月に書かれたことだが、米軍によるイラク攻撃に見られたように、米軍による『無法』と『絶えざる暴力』は、現在に至っても脈々と引き継がれているのではないだろうか。

 わたしのアメリカ史の先生は一年間の講義がおわるときに、わざわざ時間をさいて次のようなことを言われた。本もノートも閉じて、一年間の講義をきいてくれたことにお礼をいわれ、一言つけたしておきたいことがあると前置きされての発言であった。

「アメリカ史の最初から現在に至るまでの重要なテーマは、西部開拓史にみられるような、『無法』と『絶えざる暴力』である。このテーマはアメリカが地球上で重要な位置をしめる国になっても変わるものではなく、依然として、前にもまして、重要なテーマになっている⋯」(北村崇郎解説、『アメリカ合州国』、p339)

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