2021年5月8日土曜日

近代民主主義の基本的精神

 セネカの『人生の短さについて』に新訳が出て、そこには旧訳版にはなかった「母ヘルウィアへのなぐさめ」が収録されていた。そこに、「徳」という言葉が出てきて驚いた。「悪徳」に対する「徳」だから、わかりやすい。「徳」という概念は、東洋だけでなく、もっと普遍的な概念だったのだろうか。
 そう言えば、孫文がアジアの文化について、アジアの文化は古く、古代ギリシャにも影響を与えたというようなことが書いてあったのを思い出した。もしもそれが真実ならば、「徳」という概念が古代ギリシャにあっても不思議ではない。
 並行して読んだ本に、フランス革命で示された近代民主主義の基本的精神である「自由・平等・友愛」という言葉があった。ここのところを読んだとき、「自由・平等・徳」の方が良いのではないか、と思った。この辺のことは、もっと考えて見る必要がある。
 どうして、そんなにたくさんのものを追い求めるのか。われわれの祖先を見なさい。彼らの徳は、今もなお、われわれが悪徳に染まるのを食い止めてくれる。だが、彼らの生活は決して豊かではなかったのだ。(「母ヘルウィアへのなぐさめ」『人生の短さについて』、中澤務訳、光文社古典新訳文庫)

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