2021年5月29日土曜日

数奇なる思想家”田岡嶺雲”

 月に二回は行く隣町の図書館では、時々廃棄処分する蔵書を一冊10円で販売している。そこで買った『現代日本文学大系・22』(筑摩書房、1967年)に、全く今にも通じるマスコミ批判があった。実は、この本は”幸徳秋水”や”大杉栄”という名があったから買ったもので、そこに収録されていた”田岡嶺雲”という人の名は、全く知らなかった。しかし、家永三郎氏が、田岡嶺雲についての解説を書いていたので、まずはその解説を読んでみることにした。
 そして驚いた。 家永氏が「嶺雲の洞察は、単なる文明批評の域を超え、卓抜な歴史哲学識見を明治の思想史の上に展開するものであった」と評価しているように、目を見張るものがあった。その一つが次のマスコミ批判である。

 新聞紙は時好に投ずるため、国家間の衝突の切迫するかの如き報道することにより、絶えず人心を沸騰させ、知らず知らずの間に国民の対外的憎悪を挑発している。これでは戦争の生ずるのは当然であろう・(p406)

 この一文を読めば、多くの人に納得してもらえるに違いない。あまりにも、現状を反映しているからだ。こういうのを時代を超えた普遍性を持った認識というのであろう。騙されないようにしたいものである。
 田岡嶺雲を紹介した本として、岩波新書『数奇なる思想家の生涯』(家永三郎著、1955年)があることもわかった。図書館の閉架書庫に眠っていた。

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