2021年5月27日木曜日

嘘の罪で処刑になった長老たち

 PHPで連載されていた中野京子による「美貌の人」(2017年12月号)を読んで、作品「セザンヌと長老たち」と、この作品の題材となった旧約聖書のダニエル書に入っている短編「スザンナと長老の物語」のことを初めて知った。
 この物語の要約と絵は、サイト(https://cs.kddi.com/)から引用しておいたが、セザンヌの「祈りが通じたことを、聖書への知識を持つ欧米人はよくわかっている。つまり物語を知らなければ、この絵はただ異様で不快でしかないということだ。先には悲劇しか想像できないのだから」(p68〜69)それゆえ、「意味や物語のある絵画作品は、意味や物語を知った上で鑑賞するのが作品や絵画に対するリスペクトではないか」という中野さんの絵画作品に対する真摯な思いは、心打つものがあった。
 結局裁判では、ダニエルが2人の別々の証言が矛盾することを証明して、スザンナは無実が証明されるのだが、一人は乳香樹、一人はカシの木と主張したため、嘘がばれ、長老らが処刑されることになったという。ここで、嘘の罪が処刑という重い罰であったこと、長老という権威に近い者であっても裁かれてしまったことは、それだけ言葉に重みがあったということを意味する。それに引き換え、嘘が明らかになっても、何ら裁かれることもない、今の政局は、どうなっているのだろう、あまりにも言葉に重みがないではないか、と思う。

(「https://cs.kddi.com/」より)
 裸体の女性と、異様に接近している中年の男たちが描かれています。
 1人は薄い布を掴んで引きはがそうとし、もう1人は「シーっ」という人差し指を立てるジェスチャーで意味ありげです。女性は男の腕を振り払おうと手で押し戻し、胸元を隠しながら涙ぐんだ目を天へ向けています。

神さま、どうか助けてください。

 助けを求めているような切ない絵のタイトルは、『スザンナと長老たち』。
 権力者である2人の長老が、人妻のスザンナによこしまな気持ちを抱くことから始まります。彼らは水浴中のスザンナを襲おうとしますが、拒まれたために、なんと姦通罪(かんつうざい)をでっち上げて死刑にしようとするのです!
 そこへ預言者ダニエルが歩み出て、長老たちに詰問し、2人の別々の証言が矛盾することを証明して、スザンナは無実が証明されるのです。
 大逆転で正義が勝つ!テレビドラマのような勧善懲悪なストーリーに、気分爽快になってしまう作品です。(「https://cs.kddi.com/」より)

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