アウシユヴィッツ中が・・・・
タデウシ・シリヴィヤク(ポーランド)
アウシュヴィッツ中が 溢れている
子供用の サンダル
女ものの 上履
紐で編み上げた 編上げ靴
短靴
子供用の サンダル
女ものの 上履
紐で編み上げた 編上げ靴
短靴
そして
ブロックというブロックに
散らばっていた
片方だけのブーツで溢れている
散らばっていた
片方だけのブーツで溢れている
そして
アウシュヴィッツという都市から
靴の魔法使いをおびき出すよう
呪文をかけよ
このアウシュヴィッツという都市から
そして
そして
われわれのこの不安にみちた悪夢から
目覚ませよ
靴
タデウシ・シリヴィヤク(ポーランド)
ぼくの父の靴が
戦争から戻ってきた
固い皮はひび割れ
縫目はほどけていた
それで一体 足はどこにあるというの ――
幼かったぼくがきいた
そしてズボソの脚は?
兵隊さんのゲートルとか
腫で蹴る、あの足音は?
だが 靴は
舌を出し
敷居を 跨ごうと
喘ぎ 喘ぎ
血を 砥めずり
沈黙し続けていた(『現代東欧詩集 世界現代詩文庫15』、かだみちこ/ほか編訳、土曜美術社、p29〜30)
なお、「アウシユヴィッツ中が・・・・」だけ、引用者が改行と空白を入れた。原文は次の通り
子供用の サンダル
女ものの 上履
紐で編み上げた 編上げ靴
短靴
そして ブロックというブロックに
散らばっていた
片方だけのブーツで溢れている
そしてアウシュヴィッツという都市から靴の魔法
使いをおびき出すよう呪文をかけよ
このアウシュヴィッツという 都市から
そして われわれのこの不安にみちた悪夢から目
覚ませよ
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