2020年11月19日木曜日

ジャック・ウォーナー夫人の肖像

 サルバドール・ダリの作品「ジャック・ウォーナー夫人の肖像」(1951年)の前には何度も立ったが、さほどの印象を受けることはなかった。しかし、今回は違かった。諸橋近代美術館の解説を聞いて、この作品が戦争と結びついてしまったのだ。
 解説には、故郷を思わせる荒野と表現していたが、私には、もっと普遍的な、戦争によって荒らされてしまった荒野に見えるようになったのである。神殿のように描かれた邸宅も、荒野の真ん中にあっては、なんとも孤独でわびしい。そして、戦争によって邸宅(富)だけが残っても、・・・。

 第二次世界大戦の開戦にともない、1940年、パリではドイツ軍による侵攻が始まりました。この年、ダリはヨーロッパを脱出し、その後8年間をアメリカで過ごします。その間、ダリはアメリカ社交界の名士たちに近づき、彼らの肖像画を受注制作して生計を立てました。
 この作品に描かれているのは、アメリカの実業家、ジャック・ウォーナーの妻です。夫人が身に着けたドレスと宝石、神殿のように描かれたウォーナー夫妻の邸宅は、夫妻の富と名声を象徴しているようです。
 背景には、スペインのアンプルダン平原を思わせる荒野が描かれています。アメリカでの生活の中で、故郷を懐かしむダリの心情がうかがえます。(
諸橋近代美術館の解説)
ジャック・ウォーナー夫人の肖像 1951年 


 

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