展覧会そのものが今私たちが生きる世界、さまざまな人生の写し絵なのです。それは私たち誰にも関係していている日々の暮らしの中にある経験です。それが今回のタイトルを通して伝えたいことです。
ここで説明のあった「日々の暮らしの中にある経験」の一つを表現したものとして、南アフリカの作家ルギスワ・グンタの”有刺鉄線に布を巻いた”作品がありました。「不平等や非均等を作品として表現した」そうです。作者へのインタビューを聞いて、いまだに「日々の暮らしがアパルトヘイトの真っ只中である」ことを知りました。そうと知ったからか、彼女の作品が、その現実の悲しさ、痛々しさを表現しているように感じました。
南アフリカには、もうアパルトヘイトなど存在しないと思っている人たちに、私たちが未だに苦しめられていること、まだアパルトヘイト後の”時代になんか”なっていない、いまだにその真っ只中にいることを訴えたいのです。作品の緑の布は植物のように見えますが、そこには暴力があると言うことを気づかせます。柔らかくて、美しくて、植民地支配などないように感じられるものでも、そこには植民地支配の歴史があり、その中には暴力性があるのだということを理解する扉になる。(ルギスワ・グンタ談)



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