2024年2月29日木曜日

人類に与えられた最も深き書

 大原総一郎と棟方志功が『ツァラトゥストラ』に魅せられた話を、「『ツァラトゥストラ』への興味」に書きました。そんな大原総一郎にも興味をもち、『天あり、命あり:百年先が見えた経営者大原總一郎伝』(江上剛著、PHP研究所、2016年)を読んでみました。この本にも、『ツァラトゥストラ』について言及していました。「ニーチェはツァラトゥストラという超人を作り上げましたが、超人ではない私は、いつなん時、心が折れるかもしれません。そんな時、(p155)ツァラトゥストラが大いなる力を与えてくれるでしょう」(p155)という大原総一郎が棟方志功に版画を依頼するときに語った言葉です。
 大原総一郎は「ツァラトゥストラという超人」と表現していましたが、やはり、「大いなる力を与えてくれる」であろう『ツァラトゥストラ』に魅せられます。それで、初めの方を違う訳の『ツァラトゥストラ』を参照しながら繰り返し読んでみました。解説本(『ツァラトゥストラ解説 : 独和対訳詳註』、ニーチェ著、吹田順助訳註、郁文堂書店、昭和4)も見つけて読んでみました。この本には『ツァラトゥストラ』について —— この「血」を以て書かれた書であり、「人類に与えられた最も深き書」である —— と表現されていました。このことが真実なら、なんとしても『ツァラトゥストラ』を読み通してみたい、そしてその中の思想を解き明かしたい、そう思いました。
 超人についても解説がありました。
 超人は、彼岸の理想ではない。此岸の理想である。「あらゆる神は死んだ。今や我々は、超人が生きんことを欲する」とニーチェは言っている。(中略)自己以上のものを産出すべき努力を必要とする完成の状態を指しているのではなく、人生の過程のいかなる瞬間においても、「自己以上のもの」としてその上に置かれる目標に他ならない。(『ツァラトゥストラ解説 : 独和対訳詳註』、ニーチェ著、吹田順助訳註、郁文堂書店、昭和4、p20〜21)
 別の言葉で表現すると
 従来「生」の外に、「生」の究極に置かれたところの絶対的目標を、「生」そのものの中に融かし込んだものである。(p21)
 ここで、とても重要なことを言っていることはわかるのですが、なんとなくの状態です。さらに読み進めていくことでわかるようになるのかもしれませんが、現世そのものが浄土である。来世に希望を託すよりも現実世界を浄土に考える”日蓮法華宗”の現世利益を肯定する思想に通じるような気がします。

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