例えば、心というものを「緩くして、柔らかなる時は、一毛も損せず」と言い切っているのです。その辺のところの現代語訳を紹介します。
人間の心というものは、ゆったりとひろければ、それをさまたげられることはない。気くばりが少なくて、しかもきびしいばかりだと、なにかと人にさからって、あらそい傷つくことが多い。心がおおらかで、柔軟に事を処理するときは、毛筋一本もそこなうことがない。
人間は、天地のあいだにあるものでもっとも尊い存在である。そして天地は大きなものである。とすると、天地の中で、もっとも尊い存在である人間の本性も、その天地の心と一致しなければならない。
人間が寛容で、心にせまいわくをつくらないときは、喜びもいかりも、その本性のじゃまにはならず、他人のためにわずらわされることはないのである。(『21世紀によむ日本の古典_9_方丈記・徒然草』、浜野卓也著、ポプラ社、2001年、p164〜165)
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