2024年2月2日金曜日

高い道義的理想を掲げ続けよう

  マッカーサーと言えば、日本国憲法の生みの親です。それゆえ、押し付け憲法などと言われたりします。しかし、生みの親だからこそ、日本国憲法の精神というか、その本質というものをよく理解していたと言えます。マッカーサーの1950年「年頭の辞」を読み直して感じたことです。ここに、「年頭の辞」の最後の方を、「段落を増やすという編集」を加えて紹介します。

 日本はただ憲法に明示された途を迷わず、揺るがず、ひたすら前進すればよい、そうすることはただに日本自身の自由な諸制度を固めるばかりでなく、さらに日本を一つの手本として他国の自由な諸制度を強化することにもなる。 
 現在一部の皮肉屋たちは日本が憲法によって戦争と武力による安全保障の考え方を放棄したことを単なる夢想にすぎないとあざけっているが、諸君はこうした連中の言葉をあまり気にかけてはいけない。
 この憲法の規定は日本人がみずから考え出したものであり、もっとも高い道義的理想にもとづいているばかりでなく、これほど根本的に健全で実行可能な憲法の規定はいまだかつてどこの国にもなかったのである。
 この憲法の規定はたとえどのような理屈をならべようとも、相手側から仕掛けてきた攻撃に対する自己防衛の冒しがたい権利を全然否定したものとは絶対に解釈できない。それはまさに、銃剣のために身をほろぼした国民が、銃剣によらぬ国際道義と国際正義の終局の勝利を固く信じていることを力強く示したものにほかならない。
 しかしながら略奪をこととする国際的な盗賊団が今日のように強欲と暴力で、人間の自由を破壊しようと地上を徘徊しているかぎり、諸君のかかげるこの高い理想も全世界から受け入れられるまでには、なおかなりの時間がかかると考えなければならない。
 しかしすべてものごとには、はじめがなければならぬのは自明の理であり、この歴史的決定においては、諸君こそその光栄をになうものである。したがってまたこの理念の健全さを実証し、あらゆる力と手段とをあげて平和的進歩にささげることによって、測りしれぬ利益がもたらされることを、人類の前に実証する機会はまったく諸君のものである。そのうちには他の諸国も諸君と力を合わせてこの理想の実現に努めるようになるだろう。
 それまでは諸君はどんなことがあっても途中でたじろぐことがあってはならない。諸君とこの高い理想をともにする米国民やその他の人々を信頼せよ、とりわけ諸君みずからを深く信頼せよ。     ▼「朝日新聞」一九五〇・一・一
 どうでしょうか。「略奪をこととする国際的な盗賊団が今日のように強欲と暴力で、人間の自由を破壊しようと地上を徘徊しているかぎり」というところなど、まさに現在のことでもあり、決して古さを感じません。
 そして、最も注意して欲しいところは、「この理念の健全さを実証し、あらゆる力と手段とをあげて平和的進歩にささげることによって、測りしれぬ利益がもたらされることを、人類の前に実証する機会はまったく諸君のものである。そのうちには他の諸国も諸君と力を合わせてこの理想の実現に努めるようになるだろう」という、ここです。ここでいう「人類の前に実証する機会」を国をあげて取り組んでいたら、と悔やまれますが、ここで示された方法が唯一日本と世界が生き残れる道である、そう確信しました。
高い道義的理想を掲げ続けましょう。

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