日本国憲法には「改正不可条項」があるという本に出会った。日本国憲法の9条や、11条、97条には、「永久に」という言葉が使われているのだから、これらの条項を変えることはできない。変えようとすれば、それは憲法違反になるというのだ。胸のすくようなはなしである。次に、11条、97条と一緒に引用しておく。
まず時間的な極限を表す言葉、「永遠に」、「永久に」、「永久の」が使われている条文について考えてみましょう。より具体的には、誰でもよく知っている9条を取り上げます。条文趣旨を簡単に要約すると、「日本国民は戦争と武力による威嚇ならびに武力の行使は永久に放棄する」になりますが、もっと短くして「日本国民は永久に戦争を放棄する」という文章を考えましょう。「永久に」の言葉の持つ力を論理的に分析するためには、これで十分だからです。
この条文が「改正不可」であることの素朴な説明としては、次のようなものが考えられます。
9条には「永久に」という言葉がありますから、この憲法に従えば、日本は永久に戦争をしないこになります。9条を変えて、一九四六年以降の有限時間内のある時点で、「戦争をする」ことが可能になるようにするのは、「永久に」という言葉に反します。したがって、それは憲法違反です。9条を「改正」することはできないのです。
前文の「永遠に」は、世界の状況の説明であって、義務や権利の規定とは趣を異にしています。それを除けば、11条、97条にも同じ議論を適用できるので、これで9条、11条、97条は「改正不可条項」であることが「証明」できました。(『数学書として憲法を読む』、秋葉忠利著、法政大学出版局、2019年、p48)
第一一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
第九七条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。(日本国憲法)
また、99条には、天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員に課せられた憲法の擁護義務がある。しかし、「法的義務ではなく道徳的要請」だという解釈になっているらしい。この件にも言及して、「憲法99条は法的義務」であって、「逆立ちしても、道徳的要請と読んではいけない」(『数学書として憲法を読む』、秋葉忠利著、法政大学出版局、2019年、p122)と結論している。
第九九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。(日本国憲法)
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