2023年3月28日火曜日

ポール・サルトルの発見

 ポール・サルトルの名前だけは知っていたが、その人となりを知ることはなかった。当然、彼の仕事ぶりも知らなかった。この度、「歴史に反逆する武器・水素爆弾」という論文を読み、彼の思想性に惚れ込んでしまった。ポール・サルトルの発見である。たとえば、次のように、抑圧する側の少数者を告発し、抑圧される側の諸国民の利益を擁護する、という具合に思想の立脚点を明確にして論じている点である。

 暴力は常に抽象的である。それは、事物の自然の進行、その正常な発展、その相互関係、その組織を無視し、力づくでこれに変革を加え、いっさいをめちやくちやにしようとしている。この意味において、原子兵器は、暴力のもっともむきだしの姿である、それは、戦争を抽象中のもっとも抽象的なものたらしめる。正にそれだからこそ、原子爆弾は、今日、抑圧する少数者にとって都合のいい唯一の武器となっているのである。原子爆弾がなければ、彼らの任務は不可能であろう。何故ならば、彼らにとって大切なことは、諸国民の利益に反して、人々の間に、国の内部に、抽象的な障壁を維持し、歴史と経済の必要に反して支配することだからである。「歴史に反逆する武器・水素爆弾」(『世界』、1954年9月号、p31)

 しかし、「暴力は常に抽象的である」という言葉の意味がわからない。原子兵器は「戦争を抽象中のもっとも抽象的なものたらしめる」という意味もわからない。宿題である。

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