雑誌『群像』の書評欄で武田砂鉄著『わかりやすさの罪』を知った。分かりやすいのはいいはずなのに、 「わかりやすさの罪」とは、どういうことなのだろう。そう思って、書評を読んでみた。「意図的であれそうでないのであれ、多様で複雑なことがらを十把一絡げにする雑な言説は『物事の深度や多義性』(『わかりやすさの罪』、p83)を深く損なうものだ」(古田徹也著『群像』、2020年12月、p612)という。
このところを読んで、これだ、と思い出したことがある。安保法案強行採決したとき、多分、安保関連法案として、3文書を十把一絡げにして審議し、採決している。なんと横暴な議論だろうと思っていたら、今度も「政府は、原子力基本法や原子炉等規制法(炉規法)、電気事業法などの改正案を今国会に提出する。これらを『束ね法案』としてまとめて審議する」(朝日新聞、2023年2月28日)という。これこそ、大いなる罪である。
武田さんが、こうした政府の手法を念頭に『わかりやすさの罪』を書いたかどうかはわからない。しかし、まとめて審議する手法は、効率主義で、民主主義に欠かせない熟議に背を向けるものである。
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