2023年1月12日木曜日

ホブスンの『帝国主義論』3

 一回目に訳者序を読んだときには気づかなかったことだが、本書が日本において翻訳され出版される理由について、「帝国主義の科学的研究のため」だけでなく、 「帝国主義戦争に負けてすべての植民地を失い、明治以来猛進してきた、帝国主義政策の道に突然終止符を打たれた日本の、これから生きて行く路を見出すために」(p5)出版されたという。その路がどういうものか、訳者序にも簡単に示されていた。「他国との間に不和をかもす危険のある帝国主義」(p4)のような政策はやめて、帝国主義に代わる経済のあり方を模索すべきだ、ということであろう。その辺を本文で詳しく読み解いてみたい。
 以前植民地政策について調べたとき、文明の遅れた国に優れた文明を広げるものというようなことが書かれていたことを思い出したが、そのことが第二篇の概要に、触れられていた。

 第二篇は「文明の使命」として考えられた帝国主義の理論並びに実践をば、「劣等」即ち異邦人民に及ぼすその影響とか、それに携わっている西洋諸国民の行動と性格に及ぼすその政治的及び道徳的反作用という点から、考究する。(「第一版への前書き」『帝国主義論』、p7)
 また、「第一版への前書き」には、読者対象まで書かれており、その中に、当時の多くの人々の思想的な生き様が描かれて入り興味深かった。つまり、「政治的日和見主義の風潮のまにまに漂う」生き方、「盲目的な運命の推進に屈服する」生き方がそれである。私には、現代とあまり変わっていないように思えるが、どうなのであろう。
 本書は、政治的日和見主義の風潮のまにまに漂うことにも、また、盲目的な運命の推進に屈服することにも甘んじないで、政治的諸勢力を指導せんがためにそれを理解しようと欲する少数の人々の知性に訴えるものである。(「第一版への前書き」『帝国主義論』、p9)

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