2022年2月8日火曜日

世界は破局に向かっている?

 いまだに国家間の軍事的緊張が止まない。いや、むしろ拡大しつつある。アジアだけでなく、ロシアと米国が、また睨み合い始めたからだ。そうしたニュースが、何の危機感もなく、淡々と流され、そうしたニュースにも慣れっこになりつつあるのではないか。誰もが「二度と戦争は嫌だ」と思いながらも、だからと言って、その問題を本気に考えるでもない。
 しかし、人類の課題として、「戦争」の問題を避けて通れない。世界は破局に向かっていることに、その警鐘に耳を澄まして気づかなくてはいけない。まずは、評論家・柄谷行人さんの警鐘を聞いてみる。「国家と資本を統御しないならば、われわれはこのまま、破局への道をたどるほかありません」というのは間違いない。まずは、この危機感の共有から始まって、ここで述べられている方法だけでなく、あらゆる対策、考えられるあらゆる対策を講じていかなければならないであろう。
 人類はいま、緊急に解決せねばならない課題に直面しています。それは次の三つに集約できます。
1、戦争
2、環境破壊
3、経済的格差
 これらは切り離せない問題です。ここに、人間と自然との関係、人間と人間の関係が集約されているからです。そして、これらは国家と資本の問題に帰着します。国家と資本を統御しないならば、われわれはこのまま、破局への道をたどるほかありません。
 これらは、一国単位では考えることができない問題です。実際、そのために、グローバルな非国家組織やネットワークが数多く作り出されています。しかし、それが有効に機能しないのは、結局は、諸国家の妨害に出会うからです。資本に対抗する各国の運動は、つねに国家によって分断されてしまいます。
 では、どのように国家に対抗すればよいのでしょうか。その内部から否定していくだけでは、国家を揚棄することはできない。国家は他の国家に対して存在するからです。われわれに可能なのは、各国で軍事的主権を徐々に国際連合に譲渡するように働きかけ、それによって国際連合を強化・再編成するということです。たとえば、日本の憲法第九条における戦争放棄とは、軍事的主権を国際連合に譲渡するものです。各国でこのように主権の放棄がなされる以外に、諸国家を揚棄する方法はありません。
 各国における「下から」の運動は、諸国家を「上から」封じこめることによってのみ、分断をまぬかれます。「下から」と「上から」の運動の連係によって、新たな交換様式にもとづくグローバル・コミュニティ(アソシエーション)が徐々に実現される。もちろん、その実現は容易ではないが、けっして絶望的ではありません。少なくとも、その道筋だけははっきりしているからです。(『世界共和国へ:資本=ネーション=国家を超えて』、柄谷行人著、岩波新書、2006年、p 224〜225)

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