2021年9月13日月曜日

反省能力をも麻痺させる現代文明

 妾尚中さんを通して政治学者藤原保信さんの存在を知ったことは、「政治が経済の奴隷になってはダメ」に書いた。少しずつ藤原さんの著書を読み進めているが、何で今まであまり注目されてこなかったのだろう、というくらい、彼の思想には、まさに今に通じる提言に溢れているような気がした
 藤原保信著『ヘーゲル政治哲学講義―人倫の再興 』のAmazonレビューに、「現在のところ概説としては最高のものの一つでしょう。外国の文献にもこのように精確に要領よく解説したものは見当たりません。(中略)とにかく、こうような人が日本にいたということは日本の誇りになる」というのがあった。それだけの業績を残しながら、たとえば、岩波新書『自由主義の再検討』(1993年)が絶版なように、あまり評価されていないのだ。『自由主義の再検討』によれば彼の仕事は、資本主義の限界を認識しながら、「社会主義の挑戦が何であったかを問い、その失敗の原因がどこにあったかを問いながら、今日の自由主義と自由主義の理論を検討してきた」(『藤原保信著作集 9』、p136)。そうして、日本における新しい未来像を検討している。そこが魅力である。
 また『自由主義の再検討』は、当時の社会を「公共心を失い利己主義的なのは日本の社会そのものであるかも知れない」「現代文明は、およそ人々の反省能力をも麻痺させるような魔力を秘めているようにも見える」(同、p148〜149)という洞察を見せている。なぜ、天皇をはじめとして、日本人としての戦争責任を曖昧にしてきたののか、藤原保信さんの洞察を抜きにしては考えられない、そう思えてきた。だからこそ、じっくりと精読をしていきたいと考えている。

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