ラサ・ラーソン展を観てきた。チラシのトラや猫など可愛いくて素敵さ作品がたくさんあったが、常設展にあった図録(『いわき市立美術館コレクション100』)に掲載されていた浜田知明の作品「初年兵袁歌・歩哨」と、その解説に心を奪われてきた。
その作品は、「浜田の自画像といえるもので、軍隊生活のなかで一人きりになれる唯一の時間である歩哨の最中に、銃口を喉元に当てて引き金を足で引いて、自らの生命を絶とうとする初年兵の姿を描いたもの」(「浜田知明100年のまなざし展示-戦争を経て、人間を見つめる(2018.3.20 町田市立国際版画美術館)」より)だ。
家に帰ってよく観たら、一筋の涙が描かれていた。図録の解説には、
若き画学生であった浜田知明は、昭和14年東京美南学校を学業し、同年郷里熊本で入営。翌年より中国大障へ派遣され、黄塵の中、歩兵砲、軍馬と共に東北地方を4年間にわたり転戦した。
そんな彼を待っていたものは、個としての人間を全否定する旧日本軍隊の機構と、戦場という異常な殺人環境であった。聖戦美名の下に行われる殺りく、強奪、凌辱の日々。また、軍隊個有の組織制度である内務斑とその延長上にある戦場での生活、とりわけ、後者の階級と年次でもってくり返される初年兵教育は、逃げ場のない日常的なものだけに、時として戦場における生命の危機や肉体的な苦痛を超えるものがあったという。
軍隊という上意下達の閉塞した集団。そこで行われる教育に名を借りた私的制裁。多くの兵隊は、組織で生き抜くためその状況に順応し、やがて、エゴイスティックに他者に刃を向ける。この予盾と不条理に満ちた環境に順応できなかった者は、かかる抑圧の解放手段として最終的に自殺を選らばざるを得ない。
この作品は、一介の兵士として転戦しながら、人間として「モノを考えることを止められなかった」作者の自画像である。(いわき市立美術館の元学芸員・堀越達雄さんによる解説、強調は引用者による)
とあった。この短い解説の中に、軍隊生活、軍隊というものの本質が見事に描かれていいて驚いた。特に、「戦場という異常な殺人環境」という本質をついた表現に驚いた。この解説を読んで作品を観ると、作品の素晴らしさが倍加するような気がする。



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