2020年8月13日木曜日

アメリカにノーと言える議員を!!

 最近知ったことだが、「改憲は近い未来の政治日程には上ってこない」と予測していた内田樹氏による記事が、2013年に掲載されていた。その根拠が、なんと、アメリカの意向であり、アメリカからのシグナルだった。
 改憲の見通しが薄らいだらしいということは嬉しいが、「アメリカの意向を忖度する人々」の力を考えると、気が重くなる。アメリカにノーと言える統治者を選ぶことは難しいのだろうか。そんなことはない。アメリカにノーと言える議員を国民が支持すればいいだけの話である。

 アメリカが「中韓との関係を緊張させることはしてはならない」というはっきりしたメッセージを出してきている以上、安倍自民党が改憲をこれ以上どり押しすることはありえない。
 たしかに改憲を強行しようと思えばできないことはない。参院選で自民党が圧勝すれば、自民党の改憲草案を国民投票にかけて可否を問うことは技術的にはできる。だが、それは「戦争ができる国になる」という宣言に他ならず隣国からの激しい外方的な反発を招くことは間違いない。
 たしかに日本が改憲によって集団的自衛権を自由に行使してアメリカの軍事行動をフルサポートすることはアメリカにとっては好ましいことだが、軍事的フリーハンドを持った日本が東アジアのリスクファクターになることはまったく歓迎できる事態ではない。ナショナリスティックな政権が主導する改憲がアジア諸国と日本の間の外交的緊張を高めることは、誰が考えても必然の成り行きである。それは端的に「西太平洋におけるアメリカの仕事を増やす」ということを意味している。ただでさえ北アフリカ、西アジア、北朝鮮に問題を抱えているアメリカはこれ以上仕事を増やすことを同盟国には許すまい。
 だから、アメリカは「今は改憲すべき時ではない」ということをすでに安倍首相に対して複数のチャンネルを通じてはっきりと伝えているはずである。長期政権を狙うなら首相にこれを拒否する選択肢はない。拒否した場合に、「アメリカの意向を忖度する人々」(自民党内にも官僚にもたくさんいる)が「アメリカのメッセージを聞き損なった統治者」をどう処遇するかは鳩山由紀夫元首相の先例から明らかである。だから、改憲は参院選の争点にならないし、仮に選挙で自民党が圧勝しても、やはり近い未来の政治日程には上ってこない。以上の日米関係の文脈に基づいて私はそう予測している。(内田樹著、「アメリカからの『警告のシグナル』」『新潮45』、通巻376、2013年8月号8、p51)

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