2020年5月21日木曜日

アメリカ一辺倒、東洋の平和に害あり

 作家の目を通して世界を見たら、世界を二つの分裂した社会に分けてしまうことの危険性がよく見えたようである。世界の平和のためには、どちらの世界にも組せず、「世界が、二つに分けられて行く勢いを喰い止める」立場に立つ「事こそ世界史の上において誠に意義ぶかい」という。なんと分かりやすい、世界観だろう。
「日本がアメリカ一辺倒のような立場をとることは東洋の平和に害があ」るだけでなく、世界の平和に害があることは、アフガニスタンやイラン等の世界史が証明しているではないか

 私は、要点を外れていると思いますが、一つだけお答えしたいと思います。それは、世界中が、米国とソ連とを中心にした、二つの世界に画然と分裂してしまうことは、種々な意味で面白くないということ。当然それから先に大きな危険が予想されろということ。……だからわれわれとしては、世界を二つの大きな勢カ圈に分裂させてしまうような動きには警戒をしなくてはならないということ。
 第三勢力または中立的な勢力が存在することの方が世界の平和を維持していける可能性が多いと考えられること。
 したがって日本がアメリカ一辺倒のような立場をとることは東洋の平和に害があり、中立的な立場を支えて行くことこそ、平和の責任者としての義務がありはしないかということ。また、アメリカー辺倒の立場をとって、アメリカの衛星国的な位置に満足するよりは、厳然として中立を維持する事の方が、世界的にも日本を重からしむるものであると考えられること。そのようにして世界が、二つに分けられて行く勢いを喰い止める事こそ世界史の上において誠に意義ぶかい事と考えられること。 ――
 以上のような理由によって私は、安保条約の全面的廃止を希望しております。これは中国ソ連に味方しようとするのではなく、元来日本が持っていた独自の立場に立ち戻るためのものであります。
 それでは国防をどうするかという質問が出ると思います。しかし終戦直後、米兵に貞操を売った女が飽食し着飾って街を歩いていた、あんな姿の日本にはなりたくありません。食に飢えても日本国は誇り高い貧乏をして行きたいものだと思りております。(石川達三著「私はこう思う・日本を重からしむる道」『世界』、1959年11月号、p88~89、強調は引用者による)

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