2020年5月13日水曜日

大権の多くが「軍備ノ解消ニ因リ其ノ実ヲ失ヘル」

 宮澤俊義氏の八月革命説というのがある。一般的な説明によると、1945年8月のポツダム宣言受諾により、主権の所在が天皇から国民に移行し、日本国憲法は新たに主権者となった国民が制定したと考える学説のこと。主権の所在の移行を、法的な意味での革命、革命という法的な擬制(フィクション)を用いて説くことからこう称される。
 しかし、こうした説明では、説得力が弱い。美濃部達吉が戦後になって書かれた憲法論を読むと、旧憲法にとって重要だった権力(大権)が次々と剥奪されてきた過程が見事に描かれていた。例えば、「軍編制ノ大権」は、「天皇ハ陸海軍ノ編制及常備兵額ヲ定ム(12条)」という条文で表されているが、こうした大権の多くが、「敗戦ノ結果トシテノ軍備ノ解消ニ因リ其ノ実ヲ失ヘル」(『憲法提要』、美濃部達吉著、p198)と言う具合だった。
 ここで、旧憲法下でできたことで、憲法改正によってできなくなる(失う)事の大きさをピックアップしていくことを思いついた。そうすれば、新憲法によって失った条文が、(旧憲法にとって)いかに重要なものであったかったかを理解でき、其の結果、八月革命説を実感できるようになるからだ。逆に、旧憲法の大要を知らなければ、日本国憲法の素晴らしさも半減してしまう、ということだ。

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