2020年5月2日土曜日

教育刷新という名の思想教育

 1935年に起きた国体明徴運動の過程で二度も国体明徴声明が出されたことは前に書いた。つまり、10月15日には第2次の国体明徴声明を発して,天皇機関説を国体に反するものと断定,この学説の排除を決定した。国体明徴運動はこれによって終息したが,政府はさらに11月,文相を会長とする教学刷新評議会を設置,その答申に基づいて,37年5月,文部省は《国体の本義》を刊行した。同書は自由主義,民主主義の基礎としての個人主義を排撃し,日本は皇室を宗家とする〈一大家族国家〉であるとして,天皇に〈絶対随順〉〈没我帰一〉すること,おのおのの分を守りながら和を実現していくことが,日本国民のあるべき姿だと説いている。
 幸い、教学刷新評議会の答申も《国体の本義》も、国会図書館のものをインターネットで閲覧できる。そこで、答申の一部を紹介する。
 個人主義など、西洋近代思想の基本を批判し、天皇の詔勅に示された国体の具現を目的に教育内容を刷新する、というような内容が書かれている。しかも、第二の(一)に「我が国に於いては祭祀と政治と教学とは、その根本に於いて一体不可分にして三者相離れざるをもって本旨とする」とあり、「現下諸方面の基本をなす」とか「教学そのものが皇国発展の基本なること」(p22)とまで言っている。
 このようにして、「日本の教育は敗戦の日まで、こんなタガ(枠)をはめられていたのだ。しかしこのタガは、今日もなお高く評価されている日本思想界の代表者を交えた委員会で正式に定められたものだったのである」(中島健蔵著『昭和時代』、岩波新書)。


0 件のコメント:

コメントを投稿