空母のブレット・クロージャー(Brett Crozier)艦長は4ページにわたる書簡で、現在米領グアムの港に停泊している空母の乗組員約4000人の間で感染拡大が止まらない惨状を説明。米地方紙サンフランシスコ・クロニクル(San Francisco Chronicle)によると、「われわれは交戦中ではない。水兵らは死ぬ必要はない」と述べた。
2、東京行きの医療搬送チャーター便が墜落
マニラ国際空港で3月29日午後8時過ぎ、羽田行きの小型チャーター機が離陸に失敗して炎上し、乗客乗員全員が死亡した。小型機はフィリピンの会社が運航する医療搬送用で、同機にはカナダ人の患者と付き添いのアメリカ人、それにパイロットや医師・看護師らフィリピン人の6人の、あわせて8人が搭乗していた。
首都マニラには、最先端の医療を受けることが出来る複数の私立病院も存在する。こうした病院ではジカ熱を患う外国人患者も通常は治療を受けることが出来る。ではなぜカナダ人の患者は、マニラの病院で治療を受けずに羽田へ医療搬送されることになったのか。
墜落死した乗員の友人によると、患者のカナダ人男性はジカ熱を発症後、フィリピン国内のいくつかの病院を訪れたが、受け入れを拒否されたという。新型コロナウイルス対応により、病院側の収容能力が限界に達していたからだった。
以上のニュースを知って、とても人ごとではすまなかった。米軍人の感染が在日米軍内に持ち込まれたら、どうなってしまうのだろう、という思いと、マニラのような事態が拡大したら、という思いがあったからだ。
今必要なことは、冷静にことの推移を見守り、何が起こっているのかを科学的に正しく認識していくことではないだろうか。
その意味でも、朝日新聞(2020年4月1日)に掲載された<(村山斉の時空自在)感染死者数、気になる「傾き」>は、対数グラフによる検討などがあって、説得力のある、いい記事だった。
新型コロナウイルスは感染しても8割が軽症またはほとんど症状がなく、自覚なく他の人にうつしてしまう。そのため潜在的な感染者が相当数いてはっきりしないので、死者数を指標に考えてみる。誰も免疫のない新しいウイルスは対策を打たないと感染者は指数関数的に増えていく。対数グラフでは直線になり、この傾きは欧米の国ではほぼ同じだ。このまま進むとひと月で1千倍以上になる。世界的危機だ。
一方、日本の傾きはすでに頭打ちになっている韓国とほぼ同じで、死者の数が欧米のように爆発的に増えていないのが救いだ。それでもひと月で10倍になる傾きだ。それに死者数は数週間前に感染した人のもので、最近の感染拡大はまだデータに表れていない。これからオーバーシュートすることは十分ありうる。外出自粛で拡大は止まる。警戒しよう。(素粒子物理学者)

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