「2020年代の世界 「人類普遍」を手放さずに」は、朝日新聞元旦の社説である。
17の「普遍的な」目標 —— 貧困や飢餓をなくす、質の高い教育を提供する、女性差別を撤廃する、不平等を正す、気候変動とその影響を軽減する、など、 —— を掲げている、国連の「持続可能な開発目標」(SDGs〈エスディージーズ〉)の進み具合は思わしくないことを紹介し、その「目標にどこまで迫ることができるか。それが20年代の世界を見る一つの視点になる」と訴えていた。「近代社会を、そして戦後の世界を駆動してきた数々の理念。それを擁護し、ままならない現実を変えていくテコとして使い続けるのか。その値打ちと効き目を忘れ、うかつにも手放してしまうのか。予断を許さない綱引きが20年代を通じ、繰り広げられるだろう」と。
安倍晋三首相は1日、2020年の年頭所感を発表し、「未来をしっかりと見据えながら、この国のかたちに関わる大きな改革を進めていく。その先にあるのが、憲法改正だ」と改憲に意欲を表明たというが、こうした動きは、めざすべき世界像としてSDGsも掲げる言葉――人権、人間の尊厳、法の支配、民主主義――に背を向ける動きであることは明らかだ。自民党の改憲草案では、現行憲法がよって立つところの「人類普遍の原理」という文言を前文から削除してしまったからである。そうした動きに対して朝日の社説は、「人類普遍」の原理をうかつにも手放してはいけないことを訴えていて心強かった。
日本国憲法によって保障された基本的人権は、「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」であり、「過去幾多の試練に耐へ」(97条)てきた結果である。そして今、新たな試練の途上にある。だからこそ、「人類普遍」の原理をうかつにも手放して、これまで先人が積み上げてきた努力を無にしてはならない、と思う。
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