2020年1月5日日曜日

ポジティブな魅力が伝わる野党共闘へ

「国民にポジティブな魅力が伝わる野党共闘へ」と題した、上智大学教授(政治学)の中野晃一さんと日本共産党委員長の志位和夫さんの新春対談(『赤旗・2020年1月1日』を読んだ。なかなか良かったので要点を紹介したい(太字による強調は引用者)。ネット環境があれば誰でも読めるので、ぜひ読んでほしい。
(対談へのリンク)https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2020-01-01/2020010101_01_0.html


1、安倍政権への評価

「桜を見る会」疑惑は、常々、組織的な公金横領でれっきとした犯罪ではないだろうか、どうして捕まらないのか、と思っていただけに、「我が意を得たり」の心境だった。

 中野 「桜を見る会」では、公然と公金を使って自分の選挙区の人たちを招待してもてなすという“買収行為”をしている。志位さんがおっしゃった選挙制度のゆがみにくわえて、安倍政権はこんな私物化までやっているのか。これ以上分かりやすい話はありません。それで捕まらず、うやむやにされてしまうのは、どうみてもおかしい。選挙区の有権者に対する買収行為では公職選挙法違反などが指摘された大臣らが少なくとも辞めているわけですから、本来であれば安倍さんは議員辞職、最低限でも内閣総辞職ですし、捜査の手が入ってもおかしくありません。


 志位 「モリカケ」(森友・加計問題)と構図は非常に似ているんですけども、違いもあります。「モリカケ」の場合は、関係者は少数じゃないですか。ところが「桜を見る会」は何千人もいる。隠し通せるものではありません。それから、実害を受けた被害者が「ジャパンライフ」の関係者だけでも7000人もいる。老後のなけなしの貯金をすべて持っていかれて、路頭に迷っている方が何千人といるわけです。安倍首相に直結する政治資金規正法とか公職選挙法とかもろもろの法律違反の疑いもある。これだけ積み重なっている。だから、今度ばかりは年貢の納め時だと。

 中野 そうですね。

2、「ペコペコ外交」


 中野 「ペコペコ外交」ですか。
 志位 ええ。まず米トランプ大統領には、言われるまま武器を「爆買い」して、言われるままに農産物の市場開放をやって、「思いやり予算」の途方もない増額を求められても反論の一つも言わない。異常な対米屈従外交です。

 中野 覇権国に関してはペコペコするが、韓国には「生意気だ」とむやみに高圧的な態度をとる。こうした外交姿勢にはまったく中身がないし、方向性がない。外交の貧困どころか失敗、破綻という状況で、本当に深刻だと思うのです。


3、市民と野党の共闘の発展


 志位 そのあと2015年9月に安保法制=戦争法反対のたたかいのなかで共闘の方向に踏み出しました。それから4年間、3回の衆参国政選挙をやり、一定の成果をあげてきたといえると思うのですね。とくに参院選についていいますと、16年の選挙で、32ある1人区のうち11選挙区で野党統一候補が勝利し、昨年19年の選挙では10選挙区で勝ちました。この二つの参院選で11と10の1人区での勝利が積み重なったことによって、改憲勢力を3分の2議席割れに追い込み、自民党を参議院で過半数割れに追い込んだ。大きな成果をあげてきたというのは間違いなく言えると思います。

4、野党の共闘の方向性



 志位 政策的な一致点でいいますと、昨年の参院選で市民連合のみなさんと野党で交わした13項目の合意がありますよね。野党各党の間ではこれがベースになると思うんですが、少なくとも次の三つの点は、安倍政治からの転換の方向で一致できるのではないかという提案を、この間行ってきたんです。
 一つは、憲法にもとづき、立憲主義、民主主義、平和主義を回復する。
 二つ目は、格差をただし、暮らし・家計応援第一の政治に切り替える。
 三つ目は、多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する政治を築く。


 志位 野党は、それぞれ別の党なんだから、それぞれの党の個性があっていいじゃないですか。別の政党だから、独自の政策があって当然でしょう。違いがあっても、お互いに尊重して、リスペクト(尊敬)して、一致点でしっかり協力する。「ユニティー・イン・ダイバーシティー」、多様性の中の統一です。

 志位 世界という点では、ASEAN(東南アジア諸国連合)のモットーが「ユニティー・イン・ダイバーシティー」なんです。ASEANの国々は発展段階が違います。先進国もあれば、途上国もある。社会体制も違う。宗教も違う。まさにダイバーシティー(多様性)に富んでいる。ダイバーシティーに富んでいるわけですが、ユニティー(統一)が非常に強い。TAC(東南アジア友好協力条約)を土台として、地域の平和の安定のために協力し、あらゆる紛争問題を話し合いで解決する。このことを実践しています。

 中野 さっきおっしゃった「安倍政治からの転換の三つの方向」の三つ目――「多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する政治」を掲げている以上は、そこにいたる道のりも、多様性を前提にしていくことが不可欠となります。

5、野党の共闘の新しい意義

 私は、この対談を読んで、野党の共闘の新しい意義を発見することができた。それは、「多様性を大切にし、個人(相手)の尊厳を尊重する政治」をすでに実践している、ということである。

 中野 それぞれの英知を持ち寄って、お互いを尊重しながら、リスペクトしあいながら、政策を前に進めていくという政治を、すでに野党にありながら、模索していただいていると思っています。
 志位 「リスペクト」という言葉も、もともと4年前の対談で中野さんが、メッセージの伝え方というお話をされたなかで語られたものでしたね。「メッセージを伝えるためには、相手をリスペクトして、相手の立場を尊重してこそメッセージが伝わっていく」と。とってもいいお話だなと思って、私たち心がけているつもりなんですけれども。(笑い)

6、世界史の方向性


 志位 世界の資本主義の全体を見れば、貧富の格差の問題、気候変動の問題など、利潤第一主義という資本主義の矛盾が噴き出してきて、いよいよ社会主義の出番の時代が来たと思いますね。その条件が熟してきたと思います。もちろん日本の場合、すぐに社会主義に行くのではなく、まずアメリカ従属と財界中心を正す民主主義の革命が必要です。そのうえで国民の合意で進もうといっていますが、やはり世界的にはそういう条件が熟しつつある時代が来たなと思っています。
 中野 そのなかでの課題としては、新自由主義の呪縛というものをどう超えていくかということだと思うんですね。要は「この道しかない」というスローガンに典型的にあらわれたように、日本でいえば安倍政権のようなかたち、大企業への従属であるとか、支配であるとか、アメリカへの従属のような道しかないと思い込まされている人はまだいっぱいいると思うのです。そういう方たちに、再び希望を持ってもらえるような違った選択肢があり得るんだという、橋渡しがどうやったらできていくのかということは、緻密に考えていくことが必要だと思っています。

7、野党政権ができたら真っ先にやらなければならないこと


 中野 新しい試みや、未来の展望で、希望を自分たちの手で作っていくということは、市民と野党の共闘をまとめる中でも非常に重要なことだと考えています。(中略)どうやって未来を用意するのかということについても同時に発信を強めていく。不正の追及と同時に、ここにさらに力を入れていきたいですね。
 志位 そうですね。本当にそこは両方ないといけませんね。追及と同時に、どういう未来をつくるのか、そこを魅力をもってどれだけ伝えることができるか。発信できるのか。その両方がないと、野党に任せようとはなりませんから
 中野 そもそも、未来について、そういうことを考えているから、安倍政権のやり方はおかしいと言ってきたのです。反対するために攻めにかかっているわけではそもそもなかったわけです。(笑い)
 志位 その通りですね。たとえば、野党政権ができたら真っ先にやらなければならないのは、安倍政権によって壊された政治の大事な価値を再建することです。安保法制の廃止、集団的自衛権行使容認の閣議決定の廃棄などです。安倍政権によってゆがめられた行政システム、官僚システムも再建していく。隠されてきた文書もすべて明らかにする。いろいろな不正もあらいざらいすべて出す。これだけでも相当な大仕事です。
 それをやりながら同時に、目の前の切実な暮らしの悩みにどうこたえるか。みんなが尊厳をもって生きられる社会へ一歩でも二歩でもどう変えていくか。たとえば、選択的夫婦別姓ということは政治が決断すればすぐできるわけですから、そういうところからまず手を付けて前進していきたいですね。
 中野 まったくおっしゃる通りだと思います。やはりそれは一体にやるべきことであって、そのへんまで野党のうちに話し合いを深めていくことができればいいと思います。


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