2020年1月17日金曜日

静(クラシック)の感動


 東誠三演奏、ベートーベンのピアノソナタを聴いてきた。初めてのピアノ演奏会だったためか、初めのころは指さばきの凄さや、全身で演奏する迫力ばかりに目を奪われてしまった。それでも、最後の演奏になって目を閉じて聞いていたら、綺麗なお花畑のイメージが現れてきたから驚いた。
 お花畑のイメージにうっとりしていたら、やがて、お花畑で軽やかに、嬉しそうに動きまわるイメージに変化してきた。次はどんなイメージが浮かぶのだろうと漠然と思っていたら、優しく愛撫されるような不思議な感覚をピアノの響きから感じることができた。幼き頃の母からのイメージが心の奥底から湧き出てきたのかもしれない。
 こうした優しい曲は、第32番ハ短調作品111の第2楽章である。この曲目解説によると、「非常に緩やかに、素朴に、歌うように」とあって「澄み切った風格と、聞き手の心に自然に寄り添う親密さ、そして限りない優しさを兼ね備えている」とあり、「徐々に活気と希望が増し、それらは、第3変奏で頂点に達する」という解説もあった。初心者の心をも動かすほどの演奏だったことも頷ける。ひょっとしたら、第32番ハ短調作品111の第2楽章だけを聴いても、同じような、静かな感動を味わうことはなかったかもしれない。第30番と31番の演奏を聴いたからこその感動だったのではないか、と。
 今までのクラシック鑑賞においては、トランペットやドラムといった、どちらかと言えば、「運命」に代表される迫力のある演奏に魅力を感じてきた。この感動を「動の感動」とすれば、今回は「静の感動」を知ったことになる。新しい発見だ。2012916

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