2020年9月28日月曜日

人びとはみんな蒸気となって・・・

  こんな素晴らしい詩「ヒロシマ」もあった。同じく『名詩に学ぶ生き方(西洋編)』(荒井洌著、あすなろ書房)よりだが、「人びとはみんな蒸気となってたちのぼっていった」という言葉が、なんとも迫力・インパクトがあった。この言葉から、キノコ雲が人びとの蒸気であったと連想してしまったからだ。
 次の総選挙では、野党連立政権を誕生させて、核兵器禁止条約を批准して欲しいものである。以下は荒木さんの解説より

 空のかなたでかがやくめぐみの太陽でなく、地上のわずか上、ヒロシマの街の上空で、ひとつの太陽が爆発しました。
 それは、人間がつくりだした死の太陽です。太陽が原子核のエネルギーによってかがやいているのをまねて、人間は核爆弾をつくり、ヒロシマに投下しました。その爆発の熱光が、一瞬にしてヒロシマの人びとをもやしつくしました。
 のこったのは、黒こげのかげでした。熱光がやきつけた石の上のかげによって、そこに人がいたのだとわかったのです。
  ―― 日本の一都市広島を”ヒロシマ”とかくときには、かつていまわしい原子爆弾がおとされた地であることを物語っています。一九四五年八月六日、午前八時十五分。戦争下とはいえ、世界ではじめての核兵器・原子爆弾がどんな兵器であるのかが、ヒロシマの地でしめされました。
 すべてをやきつくす熱光と熱風、空にのぽるキノコ雲、そして放射能の黒い雨……世界中の人びとが注目しました。

 アッギェーエ(一九一一~八七年)は、現代インドのヒンディー語文学の詩人。小説家。本名、サッチダーナンド・ヒーラーナンド・ワーツヤーヤン。考古学者の子として、北インドで生まれ、インド各地を巡りながら少年時代をすごした。
 マドラスなどの大学で物理学や英文学を学ぶうちに、反政府の地下組織に加わってイギリス官憲に捕えられた。獄中で書いた詩が”アッギェーエ”(知られざる者)のペンネームで雑誌に発表されて以来、これを用いた。晩年に全詩集「水は流れて」(二巻、一九八六)がある。

 掲出詩の訳者・森本達雄(一九二八・昭和三年~ )は、和歌山県生まれ。現代インド思想・文学者。著訳書多数。(掲出詩は、森本達雄編訳「インドのうた ―― 闘いと瞑想の中から」法政大学出版局、一九七六年刊による)


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