2020年9月21日月曜日

描くことは相手を知ること

『いのちを刻む 鉛筆画の鬼才、木下晋自伝』(城島徹編著、藤原書店、2019年)を読んで、画家の木下晋さんを知った。木下さんは、徹底して、皺のある対象に興味を持って描いた。何故か、「しわのない肌が語る人生など、たかが知れている。深みも悲しみも歳月もない」(p219)からだという。

 そんなだから、描きたい人に対し、徹底してインタビューをする。次にようにだ。

「描くことは相手を知ること」。そう自分に言い聞かせ、私はハルさんに言葉をかけ、生い立ちや、女としての修行体験を聞き出すことに努めた。(p112)

 盲目の旅芸人・瞽女(ごぜ)として105年の天寿を全うした小林ハルさん

「東日本大震災復興祈念 東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」を観てきたが、東山魁夷も、描く対象を徹底的に研究したようで、作品を「制作するに当たって、1年間を鑑真と唐招提寺の研究に充てている。何度も渡航に失敗し、失明してまで仏教の普及に努めた鑑真の人柄にどんどん引き込まれていったのではないか。作品の随所に深い尊敬の気持ちが表れている」(「障壁画展を企画、監修した茨城県近代美術館館長尾崎正明さんの話」『河北新報』)という。
 このようにして描かれた障壁画だけあって、見応えがあった。作品の前に椅子まで用意されていて、順番を待てば、作品の前に座って、ひと時をじっくり鑑賞できた。ここに描かれた中国との深い心の交流を考えると、こうした歴史に学び、再び、日中の国交正常化することを願わずにはいられない。

こうした荒波を渡って来てくれた鑑真の心象風景に思いを馳せてみた

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