2024年1月16日火曜日

草間彌生の真の偉大さ

 草間彌生さんに次のような「求道の輝く星は遠く」という詩があります。
道を求めて 永く歩みきし日々は
星の光さえも 見失いがちの迷路

人の世の迷いの小道より
  遠き天を見上げれば
空の彼方の 輝く星たち
  求めれば求めるほどに
  輝きは遠のけるごとくなり

地上の暗愚のぬかるみの中で
  何をおろかにも
  かくほどに永き道のりを
われは くるしみつつ歩みきたりしか
やがて死がせまりくるというに ——(『草間彌生 芸術の女王』、建畠晢監修、別冊太陽、平凡社、2015年、p7、改行を加えるなど改編 )
 この詩を受けて、「草間の真の偉大さは、こうした孤独の深淵からの自らの救済への切実な願いが、世界へのより普遍的な愛の深さへとつながっている、自己と他者の同時的な救済への祈りに通じているところにあるに違いない」(建畠晢著「草間彌生への賛歌」(『草間彌生 芸術の女王』、p7)という賛辞が綴られていました。草間さんにとっての求道とは、自らの救済であり、救済への祈りでもあったのです。
 最近知ったことですが、草間さんは「子どもの頃から、産まなきゃよかったと母に言われて、殴られて耳が聞こえなくなったり」(「草間彌生に聞く」『草間彌生を知りたい いま水玉の女王にニッポンは夢中!』、枻出版社、2012年、p66)したようで、そんなこともあって、「死にものぐるいで絵を描いた」(上同)そうです。なぜなら、「絵を描いていると、気持ちが落ち着くの。必死で網目や水玉を描くのよ」(上同、p67)。草間さんにとって絵を描くことは、求道そのもので救済でもあったのです。

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