2024年1月12日金曜日

生命の輝き

 草間彌生さんの一生が凝縮されている一編の詩「戦いのあとで宇宙の果てで死にたい 2007」を、「広大な草間彌生ワールド」で紹介しました。「生命の輝きに興味を持って」で紹介した一連の詩「私の好きな場所 2006」を紹介し、「歴史のただ中で、私の生命の輝きに興味を持って欲しい」と謳った「生命の輝きのみが暴力を一掃できるのではないか」と書きました。
 改めて詩「私の好きな場所 2006」を読み直して、この詩にも、「生命の輝き」を求道した彼女の一生が凝縮されている
ことに気づきました。だから、八連の詩「生命の輝き」に改編して紹介します。この詩は、個に秘められた生のエネルギーが「永遠に尽きる事のない宇宙へ」まで広がっている、彼女の壮大な人生を感じさせてくれています。
  生命の輝き

この新しいビルは
草間ビルと名付けた。

この建物は
空を泳ぐ雲を取り込んで
ビルのまわりを優しく包んでしまう。

私の愛に捧げてくれるつもりで
雲は毎日
私に王道の事を話してくれる。
そして、魂の行方知らずの彼方へ
私を導いてくれるのだ。

そこで私は
新しい愛についていろいろの色彩を選びとって、
生きる事について考えこんでしまう。

私の求める愛とは、
永遠に尽きる事のない宇宙への
限りもない美しい
憧憬に満ちあふれている事への驚き。

私は
百歳もの年月に耐えるだけの
エネルギーと生への念願を心に秘めて
変わる事のない毎日の芸術への求道を
もっともっと心を込めて高めたい。
私は求道のしもべだ。

待っていて後世の人々よ。
歴史のただ中で、
私の生命の輝きに興味を持って欲しい。

私は
千年もの深々とした空間の中に
空は果てしなき愛を盛り込めて
世紀を乗り越えたいのだ。

待っていて、宇宙中の物事よ。
みなさん私の戦いの姿勢を
見つめていて欲しい。(『草間彌生わたしの芸術』、グラフィック社、2019年、p154、「私の好きな場所 2006」より改編)

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