2023年2月8日水曜日

歴史は進歩している

 日本経済新聞(2023年2月3日)で、黒人彫刻家エドモニア・ルイスによる「永遠に自由に」という作品を知った。田中正之国立西洋美術館館長の解説によれば、奴隷制が廃止された年は、国によって違ってした。こんなことさえ、今まで知らなかった。
 こうしている現在も、ウクライナでは戦闘が続いている。何と愚かなことか。このような状況を目の当たりにし、歴史は進歩しているのかを疑問視する声も聞こえる。愚かな戦争を繰り返しているから、やむを得ない面もある。
 しかし、黒人解放の歴史を考えると、歴史はやはり進歩していることがわかる。歴史は、一時的な後退があったとしても明るい方向に前進してきたし、これからも前進するに違いない。
 確かに、法的に奴隷制は廃止された。それでも、黒人差別がなくなったわけではない。こうした現実は、法的には男女平等が実現しているにもかかわらず、女性の差別がなくならないのと一緒であろう。それでも確実に差別が少なくなっているのも、また真実である。歴史は進歩しているのだ。

(「永遠に自由に」1867年、大理石、106×54.6×31.4cm、ハワード大学美術館蔵
 ここに表されているのは奴隷解放の瞬間である。イギリスで奴隷制が廃止されたのが33年、フランスでは48年であったのに対して、アメリカはようやく63年に大統領リンカーンが奴隷解放宣言を出し、憲法で奴隷制が禁止されたのは65年であった。
 本作は、奴隷解放宣言を知った黒人の男女の喜びを表現している。男性が突き上げる左手には、それまで彼を拘束していた鎖の断片が握られ、女性は跪き、神に感謝を捧げている。(国立西洋美術館館長 田中正之、日本経済新、2023年2月3日)

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