吉本隆明の「共同幻想論」が気になって、「国家とは何か」を読んでいた。すると、「国家は幻想の共同体だ」とか「観念としての国家」といった言葉に触発されて、前に読んだばかりのポパーの言葉が脳裏に浮かんできた。それは漠然としたもので、多分『よりよき世界を求めて』の中にあったはず、と見当をつけて、目当ての言葉を見つけることができた。それは、
われわれ人間は、人間に特有の言語を案出することによって、自らを創造した。つまり、言語が、「逆に精神に働きかけたのである」(ダーウィン「人間の由来」)。(『よりよき世界を求めて』、カ-ル・R.ポパ-著、未来社、1995年、p8)
ここでいうところの、精神に働きかける言葉と、吉本隆明の「共同幻想」が、同じに思えたのである。ポパーは、世界を三つに分類しており、彼がその中の「世界3と呼ぶのは、 人間の精神が客観的に産み出したものの世界」(上同、p 24)である。吉本隆明の「共同幻想」は、ポパーの「世界3」の範疇に入るのではないか。つまり、吉本隆明の「共同幻想論」の理解にポパーの世界認識論の理解が欠かせないのではないか。このような視点で両者を読み解いてみたいところである。
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