2023年2月15日水曜日

暴力が絶えないアメリカ

 民主主義国アメリカと言われているが、その民主主義というものが曲者だ。「白人民主主義」と言われれ、暴力が絶えないからだ。そんなアメリカの暗部を見事に描き出しているのが、フェイス・リンゴールドによる《アメリカ人シリーズ第20番:死》である。「この作品が描かれる3年前にはマルコムxが暗殺され、また制作の翌年にはマーティン・ルーサー・キングが殺されたこと」(国立西洋美術館館長田中正之解説「美の十選 ブラック・アート・マターズ(9)」日本経済新聞、2023年2月15日)を考えると、余計に、この絵の真実味が増してくる。
 田中正之氏によるとこの絵は、「白人と黒人、男と女、そして大人と子供、誰もが逃げまどい、銃やナイフによる暴力の犠牲となっている。画面のあちこちに血のしたたり描かれ、場面の凄惨さを強鯛する。中央付近に描かれた白人の男の子と黒人の女の子が抱き合って怯える姿が印象的」(上同)だという。私は、一つの問題点を発見してしまった。暴力に怯え、逃げまどっている人に白人が混じっているのをどう考えればいいか、ということである。白人の仲間がいて、そういう人たちが一緒に迫害を受けているということだろうか。

《アメリカ人シリーズ第20番:死》1967年、油彩、182.9×365.8cm、ニューヨーク近代美術館蔵

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