放送大学で、数学の歴史:「第03回 エウクレイデス『原論』と論証数学」を視聴した。何よりも驚き、感動したのは、古代ギリシャで誕生した数学が、そして、そうした学問の誕生を制度的に保障した古代ギリシャの民主制というものが、脈々と受け継がれ発展して、現在まで影響を与え続けてきたことである。
例えば、『原論』が優れたものであっても不完全な面も多々あって、やがて『原論』そのものが研究対象になり、追加、注釈、翻訳、教科書の編纂といった手段で発展してきた。平行線公準の記述も、もっと簡単にできないか等々と研究され、やがてそれらが実を結び、「非ユークリッド幾何学」生み出されたという。
『全体主義の起原』で有名なアーレントは、『人間の条件』という著書も書いていて、そこで、古代ギリシアのポリスなどで行われていた〈公的領域〉(「公共広場」のことだと思う)における〈活動〉を「人間は他者と対等に意見を交換し、自分が唯一無二の存在であることを示していた」と評価し、そこを出発点にして社会を論じている。
国会における議論を見ていると、情けない話だが、古代ギリシャの〈公的領域〉には程遠い。アーレントの『人間の条件』では、どのような解決策と提示しているか、そのうちに読んでみたい。
初期のソフィストは例外的にその数学上の業が知られており(月形図形の求積)、そこに今のところ最古の論証数学の形跡が見られるからである。こうして彼の活躍した前440年頃に論証数学が成立した可能性が高いと言えそうである。
論証数学は古代ギリシャにおいてソフィスト達の活躍した時代に、対話と弁論の中で鍛え上げられ成立したものと言えるであろう。これは数学とは異質とみられてきた法律や弁証法の領域からの影響ということになる。すなわち論証数学は、対話と弁証が制度的に保証されたギリシャ民主制のたまものであると言いえるであろう。(放送大学教科書『数学の歴史』より)


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