小説では確かめた。「本質的なことは何一つ分からず、民主主義という言葉を、万能薬のようにふりまわしているのが、今の世の中だと思った」と、今の社会でも立派に通用することが、しっかりと書かれていていた。
それでは、民主主義という言葉の本質的なことって、どんなことだろうか。作者の石坂洋次郎は、どのように考えていたのだろうか。それは、「個人の尊厳を大切にすること」ではないかと思う。生徒に向かって「いいですか。日本人のこれまでの暮らしの中で、一 番間違っていた事は、全体のために個人の自由な意思や人格を犠牲にしておったということです」と語っていたからだ。
「青い山脈」が書かれた時期を知って、このような作品が書かれたわけも理解できた。終戦後の1947年6月から10月にかけて朝日新聞に連載されたものだという。この時期は、新憲法による高揚感というものがあった時期なのかも知れない。ひょっとしたら、この時期は、「青い山脈」ような時代を反映した優れた小説が、他の小説家も発表しているのだろうか。ちょっと気になってしまった。
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