マルクスの思想をもとに、資本主義と気候変動の関係を分析した斎藤幸平さんの『人新世の「資本論」』(集英社新書、2020年)が20万部を超えるベストセラーとなっているという。『武器としての「資本論」』(白井聡著)も7万部を超えるヒットだという。資本主義では、今明らかになってきている様々な危機に対処できないことを、多くの人々が感じ始めてきている証拠なのかもしれない。
まずは『人新世の「資本論」』を読んでみた。そして、新しい発見が二つあった。
一つは、「マルクスは、労働を忌避すべきものとはまったく考えていなかった」。むしろ、「創造性や自己実現の契機になることを、目指していた」(p307〜308)ことである。「労働の中身を、充実した、魅力的なものに変えていくことが重要だというマルクスの主張こそが、再評価されないといけない」(p306)というのだ。実は今まで、マルクスは労働時間短縮による余暇の増大によって人間の解放、人間のより良い発展を目指していて、労働の質には言及していないと思っていたのだが、間違いだった。
二つ目は、「『三・五%』の非暴力的な不服従がもたらした社会変革」(p362)の実例を示し、『三・五%』の人々によって社会変革は可能であることを示してくれていることである。社会変革の実例といえば、バルセロナといった先進都市を取り上げ、国境を越えた都市同士のネットワークによって「資本の挑む国際的な連帯を生み出しつつある」(p337)ことも興味深かった。
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