2020年2月19日水曜日

武器を持だない女たちのただ一つの抵抗

 ピカソの「泣く女」シリーズついては知っていたが、それが、「武器を持たない女たちのただ一つの抵抗」を表現したもの、という視点は、この本で初めて知った。

「絵筆で戦争に対抗するんだ-」
 一九三七年、そうした思いで描き上げた『ゲルニカ』は、パリ万国博覧会で展示され大きな反響を呼んだ。この絵は見た人々に、戦争の悲惨さをうったえるのに十分な力を持っていた。
 ピカソは『ゲルニカ』のなかで、死んだ赤んぼうをだいて泣きさけぶ母親を描いている。そしてこの人物だけをぬき出して、ハンカチや手をにして、周りの目を気にすることもなく、激しく泣く女性の絵を多数制作している。あまりにも単純な線で、きばつな表情をしているため、『泣く女』と題されたこれらの絵におかしみを感じる人もいるが、これは人目もはばからないほどの本当の悲しみを表現しているのだ。
 権力者によって戦争にかり出され、死んでいく男性は悲しい。けれどもそれを、何もできずに見送るしかできない女性も悲しい。恐怖と苦しみと悲しみとに打ちのめされ、最後に爆発したのが『泣く女』なのだ
 戦場で戦えない女たちは、愛する人たちを殺されて「もうやめて。」という思いで、大声で泣く。それが
武器を持たない女たちのただ一つの抵抗なのである。ピカソは彼女たちの「泣く」という行いが、自分にとっての絵筆のように感じていたのかもしれない。ピカソはくリ返しくリ返し、『泣く女』を描いた。
 一九三九年一月、ピカソの愛する母マリアが、祖国スペインで亡くなった。ピカソにとって母性は大事なテーマだった。(
『時代を切り開いた世界の10人・第2期9・レジェンドストーリー・パブロ・ピカソ』、高木まさき監修 、茅野政徳指導、学研教育出版、2015年、p94〜95)
ゲルニカ




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