2024年11月2日土曜日

政府は戦争を欲しているか?

 国民レベルで考えるならば、どうしたら戦争を防げるか、どうしたら戦争をやめられるか、が問題になるはずです。しかし、二十一世紀になっても、一向に戦争がなくなりません。やめさせることもできず、戦禍の犠牲者が増えるばかりです。なぜでしょうか、ラッセルによると、政府が戦争を欲しているかのような態度を示しているからです。「政府は戦争を欲しているか?」という小論の中で「自分らは戦争の危険を多少とも減少し軽微なものにする努力を何一つ傾ける意志がない」し、「世界各国の政府は戦争を積極的に欲しないけれども、依然として一九一四年以前と同様、戦争抑止に役立つ一切の方策を妨害しようと心に決めているらしい」(注)からです。だからこそ、日本国憲法の平和主義の意義を再確認し、戦争抑止に役立つあらゆるの方策を検討し、実践していく必要があります。つまり、「今こそ普通の市民は、彼ら自身や子孫を無益な恐るべき死から救うために必要な良識を、まだそれが間に合う今のうちに身につけることが」(注)必要なのです。

(注)信じ難いように見えるが、諸国の政府は戦争抑止のあらゆる真剣な企図に対して、根強い反対態度を示している。軍縮会議は長い審議の果てに、単にある種の無益な合意、――万人が知るように戦争が勃発すれば、その日のうちに破棄されるにちがいない合意――の更新を決議しただけで終った。つまり集まった諸国の政府は文明世界の知性を嘲弄し、自分らは戦争の危険を多少とも減少し軽微なものにする努力を何一つ傾ける意志がないことを明らかにした。
 これらの事実から引き出される結論は、世界各国の政府は戦争を積極的に欲しないけれども、依然として一九一四年以前と同様、戦争抑止に役立つ一切の方策を妨害しようと心に決めているらしい事実である。それゆえ今こそ普通の市民は、彼ら自身や子孫を無益な恐るべき死から救うために必要な良識を、まだそれが間に合う今のうちに身につけることが望ましい。そのための第一の階梯は、全世界的規模の強制的かつ完全な軍備全廃であり、第二の階梯は国際的政府の樹立である。陸海軍はけっして安全に役立たない。現代世界における唯一の安p157全保証は、戦争の手段を持たぬことである。(『人生についての断章』、ラッセル著、みすず書房、1979年、p157〜158)
 

0 件のコメント:

コメントを投稿