ここに、40年前の「日本国憲法再読のすすめ」、という『赤旗』のコラム記事がある。この記事を再読し、ベストセラーになった『日本国憲法』の存在を知った。写楽編集部の『日本国憲法』(小学館)のことである。当時で、「六十二万部を売り、七歳の子どもから九十一歳のお年寄りまでが読ん」だというから驚きである。
いまだに改憲という自民党の目論見が実現していないのは、『日本国憲法』がベストセラーになるほど、憲法の精神が深く国民の中に浸透してしまったからに違いないと思った。無垢な心で『日本国憲法』を読めば、必ずやその真髄を会得するであろうことが、容易に想像がつくからである。「日本国憲法再読のすすめ」は、永遠の課題であろう。
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| (「朝の風」『赤旗』1982年2月21日) |
新聞、雑誌に年間回顧企画が目立つ。ことしの出版界をふりかえっての話題の一つは、写楽編集部の『日本国憲法』(小学館)の ベストセラー入りだろう。これまでに六十二万部を売り、七歳の子どもから九十一歳のお年寄りまでが読んでいるという。
この本の企画・製作者島本脩三の話を『文芸春秋』(新年 特別号)の「一九八二年ベストセラーの仕掛人たち」で紹介していたが、島本の考えには共感するとこ ろが多かった。
本書の誕生は、三十歳を過ぎ」て、自分を振り返るようになった島本が、いまの「自分をつくったのは何か」を探しはじめたところからはじまる。四年間考えつづけ、五十五年の夏の一夜、それは法だ。と、はたと気づいた島本は、「はたして、おれは憲法を読んでいるか」と自問自答する。「学生時代、感法の時間はあったが、自分のリアリティや毎日の暮らしを決めていたものとして憲法を読んだことがない」。なぜか —— これが本に結びついた。
「読みやすい、おれでも読む気になるような本があれば、みんな読むだろう」。このあと企画を会社に持ちだすのだが、そのときの島本の思いがいい。「(会社の上層部から)読者層はときかれて、島本氏はよほど『一億一千万の日本人全部です」と答えようと思った」という。
憲法が「毎日の暮らしを決め」ているもので、読者は「一億一千万の日本人全部」という大島の考えは、国民にとって憲法のもつ意味を正当にいいあてていると思う。編集の工夫ということはもちろんあるが、『日本国憲法』のベストセラーということは、けっして偶然ではない。
『日本国憲法』を読んだ十四歳の中学生の感想にいまの政治が、「この日本国憲法に基づいておこなわれたらもっとよくなると思います」とあった。改憲論者中曾根首相登場の今日、日本国憲法を「毎日の暮らしをきめる」ものとして改めて読みかえしてみたいものだ。(林)

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